子供や大人のスポーツ障害の治療の基礎知識

子供や大人のスポーツ障害の治療の基礎知識

子供や大人のスポーツ障害の治療の基礎知識

スポーツ障害について

子どもたちの体力低下、成人では肥満やメタボリック症候群の増加に対して、スポ ーツの実践が奨励されています。一方、競技スポーツはますます激化し、少子社会の 中でより若い(幼い)年齢からの選手獲得が目指されるようになっています。

スポーツや身体活動を奨励する以上は、スポーツ中に発生する傷病の管理について も、選手や指導者が理解しやすい体制を作っていく必要があります。

スポーツ中に発生するケガは、年齢により、競技により違いがあり、年齢・競技特 有のケガが知られています。たとえば、野球肘は野球により小中学生に発生する特有 のケガを指します。

内科的、婦人科的問題には競技特性は少ないものの、長期化しやすい問題が多く、 健康管理上も重要です。

ここでは、スポーツ選手や愛好家を治療する専門家ではなく、選手や指導者の方たち に、身体の仕組みやケガ、病気について知ってもらうために作りました。中学生の選 手から成人まで、さまざまな年代、さまざまな知識や経験のあるみなさんに、教科書 や参考書で勉強してもらう感覚ではなく、地図を見て行ってきた場所を確認したり、 これから行く先を下見したりする気分で眺めてもらいたいと思います。私は地図を見 ていると、「この道はこんな場所につながるのか」とか、「この町はこんなふうに広 がっているのだ」という発見があり、ついつい長時間眺めてしまいます。

身体の構造や仕組みも、ちょうど地図のようなものです。「どの部分がどんな形に なっているのか」「となりの部分とどのようにつながっているのか」など、体を動か したり、触ったりしながら、このサイトを読んでもらえると幸いです。また、ケガや病気の 頃は、痛む場所があるとき、どんなケガがぢえられるか、どんなふうに治していくの か、このサイトを読むことで、病院でドクターから聞く話がきっとわかりやすくなります (学校の授業にたとえれば、予習や復習のようなものです)。

体のことを知っていれば、よりよく体を使うにはどうしたらよいか、手入れはどう したらよいかなど、自分の体や指導する選手の体のために役に立てられます。

スポーツを行う意義はたくさん考えられますが、特に子どもにとっては体を動かす ことで起こる現象(走る、跳ぶ、受け止めるなど)を脳とのやりとりの中で身につけ られ、疲れや痛みという体の発する信号を知ることで、自分の痛みだけでなく他人の 痛みも理解できるようになるでしょう。

スポーツ医学の進歩

スポーツ医学の臨床はどんどん進歩し、診断・治療も日進月歩です。私自身が 医学部を出て整形外科研修を始めた頃は、まだMRIも研究段階で、現在のような 鮮明な画像は想像もできない状況でした。

前十字靭帯損傷の診断は、徒手テストと診断のための関節鏡検査に基づいてい ました。治療も腸脛靭帯を用い、関節を大きく切開しての靭帯再建が行われ、1 ヵ月間ぐらいのギプス固定がされていました。それが現在はMRIで容易に診断が でき、小切開のみで関節鏡で見ながら膝の内部で操作する靭帯再建が可能になり ました。再建に用いる材料の選択も、組織の強度に基づき膝蓋腱や半腱様筋腱が 用いられ、安定性が増し、復帰までのリハビリテーションスケジュールも標準化 されてきました。

このような専門的な情報が、現在は本やインターネットで入手しやすく、選手 たちもある程度の予備知識を持ってドクターと話ができるようになっています。

その結果、私たちはいつ手術をすれば、いつ頃、どの程度の復帰が可能かを、 明確に選手に説明できるようになり、選手は競技や仕事、学業のスケジュールを 考慮して計画を立てやすくなりました。

スポーツ医学の役割はこれまで、スポーツによって発生する障害や疾病の診断 と治療が主と思われていましたが、徐々に予防に力が注がれるようになってきま した。つまり、発生した問題を解決するだけではなく、問題を発生させないため の取り組みが活発に研究されています。

各傷病の予防の項で少しずつ記してありますが、傷病が起こりやすい状況、傷 病を起こしやすいタイプの選手が明らかにされてきて、それらの情報から予防手 段が考案されています。プロテクター(防具)やブレース、用具の開発や改善、 競技動作やフットワークのスキルアップ、場合によっては危険なプレーを反則と するルール改正などさまざまな方面の予防手段が 重要な選手の体については傷病を発生しやすい危険因子を検出し、コンディショ ンをも把握するメディカルチェックが浸透しつつあります。このように、安全で 高いパフォーマンスを発揮を支えることに、スポーツ医学は貢献しています。

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