子供や大人のスポーツ障害の治療の基礎知識

肩脱臼の症状と治療および予防法

肩脱臼の症状と治療および予防法

肩関節は人体の大きな関節の中では最も動きが大きく、その反面安定性に乏しい構造をしています。

スポーツ中に発生する関節の脱臼は、多くは肩関節に起こります。軽く考えがちですが、きちんと治療しないと、脱臼を繰り返すようになり(反復性脱臼)、日常生活にも支障をきたしてしまいます。

【発生機転】タックルや転倒がきつかけに

腕を体の側方に上げた状態から、強い力で後方に持っていかれるのが、最も典型的な肩関節脱臼の起こり方です。たとえば、ラグビーでタックルするときに、このような現象が起きます。スキーでは、後方に転倒して手を後方に着いた場合や、真横に倒れたような場合に起こります。

上腕骨の付け根(上腕骨頭)が完全にはずれた場合を「脱臼」、はずれ方が不完全で関節の接触が残っている場合を「亜脱臼」といいます。大部分は上腕骨が前方にはずれますが、まれに後方に脱臼が生じることもあります。

ケガによる脱臼や亜脱臼とは別に、関節が生まれつき緩いために亜脱臼を起こす人もいます。これは圧倒的に女性に多いのが特徴です。

生まれつき肩関節が緩い人が、肩を大きく動かすスポーツを行うと、容易に亜脱臼や脱臼を起こしてしまいます。

【症状】腕が動かせなくなる

脱臼が起こるときには、関節がはずれる音がして、はずれる感党があり、とたんに腕が動かせなくなります。脱臼により、肩関節の近くを通る神経や血管が引っ張られるため、手先がしびれることがあります。

亜脱臼では、関節がずれる感じがあるものの、自然に戻る感じもあります。

【診断】変形と可動制限がポイント

脱臼が起きていれば、関節に明らかな変形があり、可動制限があるので、現場で診断が可能です。亜脱臼の場合には、自然に整復されるので、本人のはずれたという申告と自覚症状から判断します。医療機関では、脱臼に伴う骨折が起きていないかを調べるため、レントゲン検査を行います。

【治療】関節唇、関節包の回復が重要

はずれた関節を元の正しい状態に戻します。現場で戻すこともできますが、整復に習熟している専門家がいなければ、三角巾で腕を吊って医療機関に行きます。通常はそのまま整復しますが、痛みや筋肉のこわばりが強く、簡単に整復できない場合には、麻酔をかけて行います。

整復すれば治療が終了というわけではありません。脱臼によって、軟骨や、関節を包む関節包の壁に損傷が起きているので、それを回復させる必要があります。安静期間は、通常3週間です。反復性脱臼を防ぐためには、安静期間を守り、リハビリテーションを行います。

安静中の固定は前腕が腹部に接する内旋位で行われてきましたが、外旋位のほうが修復に有効であることが示され、固定の仕方が変わってきました。

【予防】肩関節を安定させる筋肉を強化

肩関節を安定させる筋肉を強化することが予防に役立ちます、リハビリテーションで紹介したトレーニングで、棘上筋と肩甲下筋が強化できます。また、肩甲骨の動きをよくし、いろいろな位置で肩甲骨を支えられるようにすることも重要です。



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