子供や大人のスポーツ障害の治療の基礎知識

脳しんとうの症状と治療および予防法

脳しんとうの症状と治療および予防法

脳しんとう

脳は重要な臓器で、運動するためにも、試合の戦略を考えるためにも、人間らしく生きるためにも、欠かすことのできない働きをしています。

脳しんとうとは、頭に衝撃を受けることで、意識に変化が起こるものの、出血などの明らかな変化がなく、比較的短時間で回復するものを指します。明らかな異常がないものを脳しんとうと診断するため、このとき脳で何が起きているのか、はっきりしたことはわかっていません。

【原因】頭蓋骨の中で脳が動いて起こる

頭蓋骨の中には脳脊髄液という液体が満たされ、その中に脳があります。水を入れたボウルに豆腐が浮いている状態とよく似ています。

頭部に強い衝撃が加わると、頭蓋骨の動きに脳がついていけず、脳と頭蓋骨の間のずれが大きくなります。そのため、頭蓋骨の内側と脳の表面をつなぐ血管が引つ張られ、意識障害などの症状が現れるのではないかと考えられています。

衝撃には、前後方向に加わるものと、頭を回転させる方向に加わるものの2種類があります。

タックルなどで選手との衝突で起こる場合は、回転方向の衝撃が多いようです。回転方向の衝撃が加わると、脳はその回転と逆方向にずれます。

【症状】記憶が消えたり意識を失ったり

重大な症状は意識障害です。意識障害には、少しボーツとする状態から、意識を失う失神まで、さまざまな程度があります。

記憶の障害も重大な症状で、これには2つのタイプがあります。脳しんとうを起こす前の記t意がしばらくの間失われるのが逆行性健忘、脳しんとう後の記憶が定着せずに記憶されないのが順行性健忘です。

その他、脳しんとう後には、頭痛、吐き気、耳鳴り、抑うつなど、さまざまな症状が生じることがあります。

【診断】重大なケガがないことが決め手

脳しんとうを確定診断するための方法は、現在のところありません。したがって、①頭に衝撃が加わったという発生機転がある、②ある程度の意識障害や、脳しんとう後症状がある、③脳しんとうよりも重
大なケガ(たとえば頭蓋内出血など)を示唆する症状がない、という条件がそろった場合に、脳しんとうと診断します。

重大なケガがないことを証明するのは、それほど簡単ではありません。現場では、さまざまな症状と、その変化を観察します。頭痛、意識障害、吐き気などが悪化していくような場合には、医療機関(脳神経外科)を受診し、CTやMRIなどの検査を受けるようにします。

【治療】安静にして頭部や頚部を冷やす

現場では、安全な場所で横にさせ(安静)、頭部や頚部を冷やします(冷却)。頚動脈には脳に行く血液が流れているので、頚部の左右剛則に氷などを当てると、効率よく脳を冷やすことができます。

頚部にもケガをしていることがあるので、必要に応じてカラー固定などによる頚部の保護を行います。

競技への復帰は、重症度や受f葛回数を考慮して慎重に行うようにしますが、最近の専門家の意見では、当日に復帰させてはいけない、とのことです。

【予防】タックルなどの基本を習得する

脳しんとうを起こすような衝撃は、すべてが予防可能なものとは限りません。しかし、ラグビーやアメリカンフットボールのような他の選手との衝突がある競技では、タックル、受け身などの基本動作を確実に習得することが予防につながります。また、頚部の筋力を強化しておくことも、衝撃が加わったときの頭の揺れを小さくするのに役立つ可能性があります。



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