子供や大人のスポーツ障害の治療の基礎知識

恥骨結合炎の症状と治療および予防法

恥骨結合炎の症状と治療および予防法

恥骨結合とは、骨盤の前方で両側の骨盤の骨が結合する部分です。骨盤のうち、左右の恥骨という部分が線維組織によって連結された構造になっています。向かい合う骨同士の間で、動きが起こる関係を「関節」、ほとんど動かないように制動されている関係を「結合」といいます。

恥骨結合は基本的には動きませんが、唯一の例外が出産時で、ホルモンの働きで恥骨結合の線維組織が柔らかくなり、赤ちゃんを体外に送り出せるように広がります。

本来なら動かない部位が、強いカを受けて動かされるとケガになります。制動している線維組織や、線維組織の付着している恥骨に損傷が起こるのが恥骨結合炎です。

恥骨には内転筋が付着しています。内転筋は、股関節を内転(脚を閉じる)させる働きをする筋肉ですが、股関節の屈曲(脚を前方に振る)、伸展(脚を後方に振る)など、多くの動作で補助的に働いています。

恥骨結合炎の原因:急なストップや方向転換が原因

恥骨結合を動かすカは、左右の骨盤をずらすような動きによって発生します。急停止や方向転換がこれに相当します。そのため、このような動きをすることが多いスポーツで、恥骨結合炎が多く発生しています。サッカー、ラグビー、アメリカンフットボールなどが、恥骨結合炎を起こしやすい典型的な競技です。

その他、ラクロスやホッケ一などでも見られます。

恥骨結合炎の症状:圧痛の有無が重要

恥骨結合に痛みが生じますが、初期には、大腿部のつけ根の重さや張りを訴えることが多く、恥骨結合の痛みそのものを自覚することは少ないようです。

しかし、初期でも恥骨結合を押すと明らかな痛みがあります。この圧痛の点検が診断する上で重要な価値を持ちます。

恥骨結合炎の診断:検査は画像診断

画像診断として、レントゲン撮影やMRIによる検査が行われます。

レントゲン撮影の蔀象では、恥骨の先端に虫食いのような変化が見られます。 MR Iの画象では、多くの場合、恥骨結合の両側に高輝度(白く見える)変化が見られます。

恥骨結合炎は、自覚症状を訴える部位の名称から、鼠径宮隋(あるいは鼠径部痛症候群)という病名で呼ばれることもあります。ただ、正確には、恥骨結合炎は鼠径部
痛を発生させる障害の1つと考えるのが妥当でしょう。

また、圧痛が明らかに恥骨結合の部位で起きている場合、診断名は恥骨結合炎とするのが適当であると思います。

恥骨結合炎の治療方法:軽ければ鎮痛剤で競技も可能

軽い症状であれば、鎮痛剤を服用することで競技への参加も可能です。鎮痛剤の効果がないようであれば、症状が現れるような動作は控え、恥骨結合にかかる負担を減らす必要があります。

回復を助けるために、恥骨に付着する内転筋の柔軟性を向上させることも効果的です。左右開脚や前後開脚のストレッチングを十分に行います。

恥骨結合炎の予防方法:内転筋のストレッチング

どのような動作で発生しやすいかはわかっていますが、どのような人に発生しやすいかなど、詳しい発生因子はわかっていません。現段階では、内転筋のストレッチングと、方向転換動作を円滑に行えるように技術を高めることが有効と考えられます。



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