子供や大人のスポーツ障害の治療の基礎知識

腕神経叢(わんしんけいそう)損傷の障害の症状と治療および予防法

腕神経叢(わんしんけいそう)とは、頚椎から出た神経の枝が、肩まで行く途中で複雑に合流したり分岐したりして、つなぎ換えられる部位です。この部分に損傷が起きると、肩や腕のマヒが発生します。頚部の神経根の損傷でも似た症状か現れるため、区別が難しい場合があります。

【原因】肩が強く引き下げられて起こる

腕神経叢が急激に強く引っ張られることで発生します。ラグビーやアメリカンフットボールで肩から衝突し、肩に対して引き下げるような強いカが働いた場合が代表的な例です。そのとき、頭部が反対側に曲がっていると、神経叢を引っ張るカはより大きくなります。

ラグビーやアメリカンフットボールでは、通常、神経叢の一部だけに損傷が起こります。最もよく見られるのは、三角筋を動かす腋窩(えきか)神経の損傷です。

すべての神経が切れてしまうような損傷は、オートバイや自転車などによる高速・高強度での衝突で起こります。この場合、腕神経叢が頚椎から神経根ごと引き抜かれるような状態になります。これを特別に引き抜き損傷と呼ぶことがあります。

【症状】筋肉に力が入らない

損傷を受けた神経が支配している筋肉に脱力が起こり、感党のマヒも起こります。最も多い腋窩神経の損傷では、三角筋が動かなくなるため、肩を前や横に持ち上げる動作が灘しくなります。また、肩の周囲の感覚が鈍くなります。

【診断】損傷部位の確認にはMRI

脱力や感覚マヒが起きている範囲によって、損傷の範囲は推測できます。損傷の起こっている場所を確認するためには、MRI検査を受けます。

【治療法】自然に回復するのを待つ

ラグビーやアメリカンフットボールなどのスポーツで起こるほとんどの腕神経叢損傷は、神経の束が完全に切れることはありません。この場合、自然経過で徐々に回復していきます。

ただし、完全にマヒが起こるほどの損傷だった場合には、回復には数ヶ月の期間がかかります。その間、放置しておくと関節が固くなったり、筋肉の萎縮か進んだりします。これを防ぐために、他動的に肩関節を動かすリハビリテーションを、1日に数回行う必要があります。

オートバイや自転車の事故で発生する損傷では、神経根から引き抜ける形の開幕が起こります。この場合、自然に回復することは望めず、単純に神経をつなぐ手術もできません。そこで、神経の移植をして橋渡ししたり、肋骨の間を走る肋間神経を腕に行く神経につなげたりする手術が行われています。

【予防法】事故で起こるので予防は困難

腕神経叢損傷の大部分は、事故やアクシデントによって発生し、特定の原因を考えることはできません。そのような意味では、予防は困難といえます。

ただ、比較的軽い神経叢損傷が起きていながら、診察を受けることなくスポーツを続け、衝突する動作を繰り返したために、完全なマヒヘと進んでしまう人がいます。このようなケースでは、軽傷のうちに練習を中止することが、神経マヒの予防につながった可能性があります。

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