子供や大人のスポーツ障害の治療の基礎知識

骨の障害~骨折、疲労骨折

骨折の定義

骨は硬い構造をしていますが、ある程度の弾力性があり、わずかに曲がったりたわんだりします。ただ、その強度を超える大きな力が加わると壊れます。この状態が「骨折」です。肉眼的にわかる大きさの亀裂が生じるものと、肉眼的にはわからないもの顕微鏡で見るとわかるレベルの亀裂が生じているものがあります。

スポーツ中に急性に発生する典型的な骨折の多くは、肉眼的にわかる亀裂が生じる骨折です。皮質骨が割れ、海綿骨も途絶
し、骨の周囲を包む骨膜の断裂も生じます。骨折で分かれた部分にずれ(転位)が起こると、骨の内部の骨髄も損傷を受け、流れ出してしまいます。骨折は骨という臓器の損傷と考えることが必要です。

骨折の分類

骨に生じた亀裂(骨折線)の入り方によって、横骨折、斜骨折、らせん骨折、粉砕骨折に分類されます。生じた骨折圧迫骨折です。主に脊椎などに起こります。また、靭帯、腱、関節包などに引つ張られることで、裂けるように生じた骨折を 離骨折と呼びます。

また、皮膚損傷を伴うか否かで単純骨折、複雑骨折と分類しますが、一般に、完全骨折や粉砕骨折と誤解されて使われがちです。このため、閉鎖骨折(骨折が体内で起きている=単純骨折)、開放骨折(折れた骨が皮膚の傷から外に出ている=複、雑骨折)の用語を用いるほうが適切です。

骨折の症状

骨折の症状には、患部の痛み、腫れ、異常可動性(ぐらつき)があります。痛みや腫れは大部分の骨折で見られますが、異常
可動性があるかどうかは、骨折の程度や部
位によって異なります。

骨は血管に富む臓器で、骨折が起きると、骨の内部を通る無数の血管が損傷を受けます。それによって多量の出血が起こり
ます。大腿骨のような大きな骨の場合、数百mlの出血が起こります。これがいわゆる内出血で、そのために骨折の起きた周囲
には強い腫れが生じます。

骨折の治療

臓器としての骨を元通りに治すには、まず形を元の形に近い状態に整える必要があります。この操作を整復と呼びます。

骨は修復能力が高く、折れた骨同士を近接させた状態で維持すれば、多くは自然にくっつきます。これを癒合といいます。まず、骨の前段階として仮骨という軟らかい組織ができ、その内部にカルシウムが沈着することで、硬い骨になっていくのです。骨の周囲の骨膜に沿って作られる仮骨と、骨折した断面をつなぐように作られる仮骨が連結し、ひと続きの骨にしていきます。仮骨がレントゲン撮影で写るようになるのは、胞易して3週間ほど経った頃です。仮骨がしっかりした骨に成熟し、骨癒合といえる状態になるまでに2~3ヵ月かかります。

折れた骨同士が近接した状態に維持されず、動いてしまうと、その間に骨を作ることができません。その結果、骨と骨がつながらず、偽関節という状態になってしまいます。

偽関節になると、いつまでも痛みが残ります。また、関節を動かしたり、骨に付着する筋肉が収縮したりすると、違和感や骨のずれる感覚が生じます。そのため、運動できない状態になってしまいます。

偽関節になりやすいのは、骨膜や筋肉が大きな損傷を受けた骨折です。特に開放骨折では、骨に栄養を送る血管も大きなダメ
ージを受けるため、偽関節になりやすいことが知られています。

骨折の治療では、折れた骨同士を近接しだ状態で固定することが大切です。安定した骨折では、ギプス固定など、体の外債回
骨折部を支える方法を取ります。

折れた骨同士を近接した状態で維持できない場合は、手術を行って固定します。金属の固定具で骨折を動かないように治療する方法を内固定といいます。内固定には鋼線固定、プレートスクリュー固定、髄内釘固定、螺子固定(スクリュー固定)なとの方法があります。

疲労骨折の定義

通常の骨折は、大きな力によって骨が壊れます。これに対し、疲労骨折では、1回では骨を壊し得ない程度の力が繰り返し作
用した結果として、ミクロな壊れが発生します。このミクロな壊れは、骨を構成している骨単位の境界線に沿って生じる亀裂と
考えられいます。

したがって、疲労骨折では、臓器としての骨の壊れはほとんどなく、骨組織としての損傷が起きているだけだと考えることもできます。

この亀裂を修復していく過程では、骨からカルシウムを運び出す破骨細胞が損傷部分の表面をいったん吸収し、その後で、骨
にカルシウムを運び込む骨芽細胞が新しい骨を作るのだと考えられます。また、骨膜でも亀裂部を上塗りするように新しい骨が
作られます。多くはこの時点で、レントゲン撮影により疲労骨折と診断されます。

これより前にレントゲン撮影を行っても映像に写らないため、診断できません。そこで、疑わしい場合には、1~2週間後に再度レントゲン撮影を行います。

筋肉による引っ張り、あるいは体重をかけることによるたわみがない部位であれば、亀裂は通常1ヵ月程度で自然に癒合します。しかし、引っ張りやたわみが加わる部位だと、亀裂を引き離す力が加わるため徐々に亀裂の周囲の骨が吸収され癒合が起こりにくくなります。代表的なのが脛骨的方の疲労骨折(跳躍型疲労骨折、や、第5中足骨基部の疲労骨折(ジョーンズ骨折)です。

疲労骨折は長距離走の選手に多く、中でも骨密度剛氏い選手に多発する傾向があります。1年に数力所の疲労骨折を起こした
り、大腿骨や骨盤などの大きな骨の疲労骨折を起こしたりする選手は、大部分が骨密度の低い選手です。このような場合、予防
のために、栄養の摂取やトレー二ング量を考え直す必要があります。

<PR>

Return Top