-10月-2011の記事

筋の障害~肉離れ、筋挫傷、筋肉痛

肉離れ

筋肉に起こる急性のケガとして、最も身近なのは筋線維が切れる「肉ばなれ」でしょう。外部からの力を受けておこるのではなく、自分の動作や筋力によって筋線維が切れてしまうのです。

肉ばなれを起こすときに発揮されている力は、筋肉が縮もうと短縮するとかこ発生する力(短縮性収縮あるいは求心性収縮)ではなく、伸ばされながら発生する力(伸張性収縮あるいは遠心性収縮)であることがほとんどです。英語では、このような収縮をeccentric contractionと呼び、日本でもエキセントリック収縮という言葉が使われるようになっています。

肉ばなれが最もよく発生するのは、大腿の後ろ側のハムストリングです。その他、大腿の前側の大腿四頭筋、ふくらはぎの勝腹筋にもしばしば見られます。これらの筋肉に共通しているのは、2つ以上の関節を越えて伸びる2関節筋であるということです。2関節筋は、2つの関節の動きの影響で長さの変化が大きく、2つの関節が筋肉に対して同じ作用を及ぼす方向に働くとは限りません。こうした特徴があるために、損傷が起こりやすいと考えられています。

たとえば、ランニング中に接地している脚のハムストリングは、股関節を伸展させるために収縮して力を発生させますが、膝が伸展することで伸ばされます。そのため、伸張性収縮が起こり、肉ばなれが発生しやすくなるのです。

肉ばなれでは、筋線維が急に引っ張られ、ちぎれるように切れます。英語では、muscle strainと表現されます。実際に超音波検査やMRIの画像を見ると、筋線維から腱や腱膜(筋膜)につながる連結部で切れていることがわかります。

力が加わって損傷が生じるときには、力学的に最も弱い部分に損傷が生じると考えられます。筋肉であれば、筋線維の途中で切れるよりも、筋線維と腱などの連結部、つまり伸び縮みの性質の異なる境界部分で、切れるのだと解釈できます。

筋線維が切れたことで生じた隙間には、おそらく血液などの体液がたまります。やがでその中に、腱や腱膜と筋線維をつなげるための線維組織(筋線維とは異なる、腱に近い組織)ができ、隙間が埋められていきます。十分な強度で線維組織ができ、腱刎幽莫と筋線維とがつなげられると、筋肉の収縮に耐えられるようになり、筋腱複合体としての機能が回復します。このように回復するまでの期間はだいだい1ヵ月程度と考えられます。

肉ばなれでも、より強い力が加わったときには、大量の筋が切れることがあります。その場合には、肉ばなれというよりも筋の部分断裂と呼ぶほうが適当です。ハムストリンングや大腿直筋では、1つの筋の半分以上(ときには全体)が切れるような筋断裂が起こることもあります。 続きを読む


軟骨の障害~骨端症、離断性骨軟骨炎

軟骨は骨に比べて再生能力が低く、損傷を受けると元通りに治りにくい組織です。

骨端症

スポーツ中に発生する軟骨の障害で、特に成長期の選手によく見られるのは、成長軟骨部の損傷です。これらを総称して「骨端症」といいます。

膝に発生するオスグッド病が最も有名ですが、その他にも、かかとの骨に発生するシーバー病、足の中足骨頭に発生するフライパーク病など、多数の骨端症があります。これらの病名は、いずれも研究者の名前から取られたものです。

成長期には骨の両端の関節より少し離れた部位に成長軟骨層があります。この成長軟骨より中心側を骨幹部、成長軟骨より先端側の部分を骨端核といいます。

骨端症が発生するメカニズムはさまざまです。骨端核に付着する靭帯や腱で引っ張られて成長軟骨層が引き裂かれるタイプもあれば、荷重や筋力によって圧迫力を受けて起こるタイプもあります。

たとえば、オスグッド病は、大腿四頭筋の引っ張る力が、膝蓋腱を介して脛骨の骨端核に作用することで起こります。シーバー病は、足底腱膜やアキレス腱の張力により、骨端核が圧迫を受けて発生します。成長軟骨層が張力を受けたときのウイークポイントになる成長軟骨層のために、血管が伸びることができず骨端核が血流不足になる、といった原因もあります。

骨端症は、強い負荷がかからないようにスポーツの量や強度を調節することで、基本的には落ち着きます。ただし、中にはペルテス病のように、大腿骨の骨端核がしてしまう危険性があるものもあります。この場合には、体重がかからないようにする厳重な管理が必要になります。

離断性骨軟骨炎

関節を構成する向かい合った骨の表面は、関節軟骨で覆われています。成長途上の子どもは、関節軟骨も厚くなっています。離断性骨軟骨炎は、関節軟骨とその下にある骨の一部が周囲から剥がれ、関節炎症状を起こす障害です。

剥がれ方によって、①骨軟骨片に浮き上がりがないもの、②滑軟骨片が浮き上がって関節表面に突出しているもの、③骨軟骨片が関節表面から完全に離れているもの、という3タイプに分類できます。

完全に離れた骨軟骨片は、関節内遊離体あるいは関節ネズミと呼ばれています。関節の中を動き回り、いろいろな部位にはさまって関節の動きを妨げます。

このような骨軟骨の離断がなぜ起こるのか、必ずしも明らかにはなっていません。ただ、体重のかかる下肢の関節では、ジャンプ、着地、方向転換など、強い衝撃が加わることが原因ではないかと考えられています。最も発生しやすいのは膝ですが、足関節、肩、肘に発生することもあります。

骨軟骨片の浮き上がりが軽い場合や、直接に接触することがない部位で起きている場合は、関節に水がたまるなどの関節炎症状くらいしか現れず、この病気独特の症状でないため、見逃されることがあります。

この股階であれば、骨軟骨片の底に細い針金で穴を開けるドリリングという治療を行い、骨の中心からの血行を促します。

骨軟骨片が剥がれて関節内遊離体になっている場合には、関節内ではさまる陥頓症状を引き起こす危険があるため、取り除く手術が必要になります。

関節友面の向かい合う形が変化してしまうと、関節の動きに支障が出ます。可動域が制限され、伸ばしきれない、曲げきれないなど、変形性関節症のような症状が現れることになります。


骨の障害~骨折、疲労骨折

骨折の定義

骨は硬い構造をしていますが、ある程度の弾力性があり、わずかに曲がったりたわんだりします。ただ、その強度を超える大きな力が加わると壊れます。この状態が「骨折」です。肉眼的にわかる大きさの亀裂が生じるものと、肉眼的にはわからないもの顕微鏡で見るとわかるレベルの亀裂が生じているものがあります。

スポーツ中に急性に発生する典型的な骨折の多くは、肉眼的にわかる亀裂が生じる骨折です。皮質骨が割れ、海綿骨も途絶
し、骨の周囲を包む骨膜の断裂も生じます。骨折で分かれた部分にずれ(転位)が起こると、骨の内部の骨髄も損傷を受け、流れ出してしまいます。骨折は骨という臓器の損傷と考えることが必要です。 続きを読む


骨・関節~体を支え、体を動かす

骨の種類

私たちの体には、いろいろな形をしたたくさんの骨があります。全身の骨は、長い骨、短い骨、平べったい骨、丸い骨というように、形の異なるグループに分けることができます。

長い骨は長骨(または長管骨)と分類され、腕や脚の大きな骨は、大部分がここに入ります。

平べったい骨は扁平骨と分類されます。骨盤、肩甲骨、頭蓋骨などがこれに相当します。

これらの骨は、長骨でも扁平骨でもなく、短骨と分類されます。

全身のすべての骨が、この3つの種類に分類できるわけではありません。骨によっては、一部は短骨で、一部は扁平骨というように、2つの性質を合わせ持っている場合もあります。 続きを読む


筋・腱~収縮することで骨を動かす

関節を動かす仕組み

わたしたちは体を動かすのに、関節の曲げ伸ばし利用しています。関節を曲げたり伸ばしたりできるのは、ある骨に付着してい
る筋肉が、関節を越えたところにある別の骨に付着しているためです。このような構造になっている筋肉が、収縮したり弛緩したりすることで、関節を動かしているのです。 続きを読む


神経~筋肉に刺激を伝える

反射による運動

私たちの運動には、動かそうという意思によって起こす動きと、そのような意思に関係なく生じる動きとがあります。同じ筋の収縮でも、関節を伸ばそうという意思で生じる動きと、ある特定の刺激により、脳からの指令がないまま生じる動きがあります。後者の代表が「反射」です。

よく知られているものに、膝蓋腱反射があります。膝蓋骨の下方にある膝蓋腱をたたくと膝関節が伸展するのは、腱がたたかれることによって膝蓋腱に連結する大腿四り勤方が瞬間的に伸ばされ、その結果、大腿四頭筋に収縮しようとする働きが起こったためです。

この反射は、腱や筋線維の伸びを感じ取った情報が、末梢神経を介して脊髄に伝えられ、脊髄で筋線維を収縮させる指令が出
ることで起こります。刺激は脳まで行かず、脊髄で戻ってくるため、非常に短時間で動き炳のに触れたとき、瞬間的に指を引っこめる動作が起こるのも反射と同じです。 続きを読む


神経系~情報を受取り、処理し、発信する

神経系と神経細胞

神経系は情報を受け取り、処理し、発信する働きをしています。情報を伝達する点で内分泌系と似ていますが、神経系は全身に張りめぐらされ、体の状態や外部環境の情幸則こ対して体内のすべての器官に指令を送り、その働きを調節しています。

構造や位置から神経系は「中枢神経」と「末梢神経」に分けられます。中枢神経には脳と脊髄が、末梢神経にはそれ以外の神経組織が含まれます。また、その機能から体の動きや感覚を支配する「体性神経」と、主に内臓の働きを支配する「自律神経」に分けられ、神経細胞は情報を受け取る樹状突起と情報を伝達する軸索突起からできています。樹状突起と軸索突起はシナプスという構造によって他の神経細胞と接触し、情報の受け渡しをします。軸索突起は脳では数ミリの長さしかありませんが、脊髄や末梢神経では長く、坐骨神経ではlm近くあります。長い距離の情報伝達を効率よくするため、絶縁体の役割をする髄鞘が軸索を取り巻いています。末梢神経は、髄鞘に包まれた軸索突起がり、膜に包まれた構造になっています。 続きを読む


内分泌系~各器官にホルモンで情報を伝える

ホルモンとは

内分泌器官は、体の情報や周囲環境の情報を、体内のさまざまな器官に伝える働きをしています。

化学物質であるホルモンを、血液を介して送ることで情報を伝えます。ホルモンは、ごく低い濃度で特定の器官の働きを変えることができます。

ホルモンを分泌する全身のさまざまな内分泌器官の働きは、内分泌の中枢である視床下部から出るホルモンの指令により、促進されたり、抑制されたりします。内分泌の中枢は、分泌されたホルモンの濃度を感知し、高くなりすぎたり、低くなりすぎたりしないように制御します。 続きを読む


泌尿器系・生殖器系~体内の老廃物を排泄する

泌尿器系の構造と役割

泌尿器系は、体の中で発生した不要な物質(老廃物)を、血液中から取り除き、尿中に排泄する働きをしています。腎臓で血液から尿が作られ、尿は尿管を通って膀胱にためられます。膀胱の尿は、尿道を通って排泄されます。

腎臓

腹部の深い場所に左右1個ずつ存在します。普通、わずかに左のほうが高い位置にあります。腎臓の1つの重さは、成人男性で150~160 g 、成人女性で130~140 g程度です。わずかに左の腎臓が重くなっています。

腎臓には、腹部大動脈から動脈血が流れ込みます。心臓から拍出される血液の約20%が流れ込むため、毎分Hもの血液を濾過しています。

血液から尿を作り出しているのは、ネフロンと呼ばれる濾過装置の基本単位です。腎臓には、ネフロンが約100万個存在し、流れ込んできた血液から、水分や排泄すべき物質を濾過しています。

その結果できた尿は、尿細管という管を通って集められます。その途中で、尿細管にからみついている毛細血管との開で、排泄や再吸収という物質のやり取りが行われます。体内が水分不足の状態だと、再吸収する水分量を増やすため、濃縮された尿となります。そのため、水分不足の状態が続き、腎臓にかかる負担は大きくなります。できた尿は尿管を通って膀胱に送られます。1日に作られる尿は、成人で1.5忿前後です。

体の深部にある腎臓ですが、まれにスポーツ中の腹部の打撲によって損傷することがあります。強い腹痛や血尿が出た場合に
は、腎臓損傷の可能性があるので病院で受診することがすすめられます。

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消化器系~栄養を吸収し、蓄え、排泄する

消化管の構造と役割

消化器系は、摂取した食べ物や飲み物を、体の中で使いやすい栄養素に分解したり、それを吸収して蓄えたり、不要な物質を排泄したりするまでの、さまざまな働きをしています。

口の中では、歯で噛み砕くという機械的消化が行われ、一部は唾液によって分解する消化が始まります。

食べた物は、食道を通って胃に入ります。胃では主にたんぱく質の分解が起こります。 続きを読む


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